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1 : :2001/08/16(木) 18:04 ID:IbGLrnuw
 

2 :(0^〜^0)@狼:2001/08/16(木) 18:10 ID:i.1NSYPA
そうだね

3 :ああ ガムやるよ:2001/08/16(木) 18:15 ID:4E6KnLmI
ああ 放置されて落ちていくまで待ってたよ ガムやるよ>>1

4 :名無し娘。:2001/08/16(木) 23:35 ID:nqvKRkOE
侍ジャイアンツ

5 :名無し娘。:2001/08/18(土) 16:31 ID:0I4GjXZE
ちょっと保全してみるか

6 :名無し娘。:2001/08/18(土) 16:35 ID:yFXz6NkA
>>5
特に予定がないのでしたらなら、
もらっちゃって良いですか?

7 :名無し娘。:2001/08/19(日) 02:41 ID:QimEEFIk
ほんのちょこっと保全。

8 :名無し娘。:2001/08/19(日) 13:15 ID:p0IDyLzg
保全保全

9 :6:2001/08/19(日) 16:40 ID:fg8adDR6
返事前を頂く前ですみませんが、ここのスレを頂きます。
別所で書いていた小説を移動して、続きをここで書きます。

タイトルは「夏のプリズム」
全四章で終了予定です。

10 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:32 ID:NlfNnylE
「天使――って言ったらどうする?」
彼女の自己紹介に、何も言い返せなくてただ黙る。
訝しげに睨む私を、彼女は面白そうに見つめ返していた。

                              < 一 自称天使 >

11 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:34 ID:yHdZSQjw

それは目が痛くなるほど青い空の下の夏休み。
一人川原に赴いて、乾いた土ぼこりと芝の中にべたっと背中をくっつければ
スクリーン一杯に青空と白い雲。
対岸の緑に高架の灰色が広大な天界に彩りを添える。

そんな自然と人工物の色の中に、突然現れた中間色。
健康そうな肌の上に薄化粧を施している。
白い貝のピアスと白い歯が、陽光を弾いて眩しく輝いた。
「行き倒れですか?」
ひょっこり上からのぞいた丸顔の少女に、私は慌てて起き上がった。

「上に自転車が倒れていたから、何かあったのかと思って」
ピンクの自転車は路上の脇に立てておいたはずである。
「……風で倒れちゃったのかな」
「川原に降りてみたら女の子が倒れてボーっとしてたから……」
倒れていた、のではなく、寝そべっていた、のだが。
キャミソールにスカートという服装で芝生の上に寝転がっているのは、
確かに不審な構図だったのかもしれない。
「ごめんなさい。なんでもないの。私はその、別にね、だから……」
部活に行くのが嫌で。中学でのやり方。執念の欠如。時を流してしまいたい。
――そんなこと話してどうするのよ。

12 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:35 ID:yHdZSQjw

どこから何をを説明したらいいのかわからず、口篭もってしまう。
私の慌てふためく素振りが面白かったのか、少女があははと破願した。
「寝てただけみたいですねぇー」
原因を端折って結論だけ言えば。
「……みたいなんです」
十六の乙女が部活逃避で川原に寝そべって、なにかの事件と勘違いされるなんて。
なんだか情けない。
自虐的になって身を縮めていると、少女の方が軽く頭を下げた。

「変な声かけてすいません。
 この川原、治安悪いから……一人で来ない方がいいですよ」
「……そうね」

日が落ちると不良の溜まり場になり、昨年の夏には少女暴行事件が起きた。
といっでもそれは下流の話。
中流に当たるこの辺りは小中高、各種学校へ続く通学路でもあり、少年野球場があり、
散歩人たちのお気に入りになっている。

たまたま今、私の周囲に誰もいなかっただけだ。
生まれてずっと過ごしてきた土地の歩き方など教えてもらうまでもない。
そんな愛郷心の混ざったプライドが少女の忠告を軽く聞き流させた。

「ありがとう。心配かけてごめんなさい。それじゃ失礼します。」

恥ずかしさを誤魔化そうと馬鹿丁寧なお辞儀をすると、
私は逃げるように川原を上って自転車を走らせた。

13 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:37 ID:yHdZSQjw

可愛い女の子だった。
年はたぶん私と同じぐらい。
背は絶対に私より高かった。
赤いキャミソールにGパンというアクティブな服装。
大きい目は真っ直ぐ過ぎて、目前のものを射ぬくような強さがあった。
だけど、笑うとその目はキラキラと光を集めて夏を凝縮したような色になる――。

印象に残る相手だから、恥ずかしさもなかなか消えてくれないのだろう。

「馬鹿みたい、私ったら、もう、もう、もー」
呟き、ペダルをチャカチャカとかき回していると、ほどなく高校に着いた。
部活をサボろうなんて考えたから、バチがあたったんだ。
バックを手にして部室に向かってダッシュする。

――みんなコートに出ちゃっただろうなぁ。
二時間の遅刻で部室に駆け込むと、
案に相違して部員全員が円陣を組んでいた。

全員の視線が部室の入り口に――
私に、新入部員一年生に、一人意気がる生意気な場違い者に集中した。
「……あ、あ、あ」
威圧感に胸を押され、酸欠の金魚みたいに口をパクパクさせて、
「何か……あったんですか?」
「ドロボウよ。石川、あんたじゃないの?」
日頃から私に風当たりの強い先輩が斬りつけるように言って来た。
「……え?」
「盗まれたのよ、あたしの新品のテニスラケットが」
それで大体の状況を理解した。

テニスラケットというものは、けっこう高い。
ブランド物を使えば三、四万するものもザラにある。
そんなものに何かあっても困るので、
私物は自己管理、部室に置きっぱなしにしないというのが基本なのだが
「昨日、部活の後にデートがあったから、かさばる物置いてったのよ。
 そうしたら今日――」
こういうこともあるわけだ。

「私知りませんよ!私だってラケット新調したばっかりですよ!」
「あんたのは安物でしょ。私の見て『うらやましい』とか言ってたじゃない」
「そんな……」

14 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:39 ID:42mxj6vs

その時私を見つめる先輩は、酷く醜い目をしていると感じた。
そして、そう感じてしまった私は、きっと先輩と心の底から通じ合う日は
来ないのだろうと気がついてしまった。

先輩はスポーツ進学校として有名なこの高校の中でも屈指の有名部である
女子テニス部のエースだった。
一人頭抜けて高価なテニスラケットを愛用するような高慢さを感じてはいたけれど、
私はこの先輩の腕前をテニスプレイヤーとして尊敬していた。

愚図だヘタクソ、うるさいブリッコだと嫌われていながらも、
私は先輩に近づきたいと思っていたのだ。
だが、絶望的な嫌悪感は一方的な憧れを完膚なきまで叩き壊した。

「あーあ、泣いちゃったよ」
「泣けば誤魔化されると思ってるの?」
「ちょっと、やめなよ。これじゃイジメだよ」
「違うでしょ、盗んだかどうか聞いてるだけじゃない」
「泣かないで、ね、証拠はないんだしさ」
「何よ。私が悪者なわけ?あたしは被害者よ?」

――違う違う違う違う!
密かに隠してきた大切な宝物を壊された。
この気持ちをわかってくれる人はどこにもいない。
私は文句も反論も口にせずに泣きじゃくった。
思いを伝える言葉を見つけられないで暴れる子供のようだ。
自覚しながらも、涙も声も止められなかった。

部室には重苦しさが蔓延していた。
誰が原因かはわかっている。
――消えてしまいたい。
私の耳障りな泣き声と、険悪な言い争いと、口を挟めない部員の気まずい沈黙が
混ざり合って鈍く渦巻く混沌の中、
「失礼しゃーす」
あっけらかんと扉を開いた人物に、負の感情は吸い込まれるように集中した。
肌が切れるような緊迫の一瞬。
「おおっとぉ……」
視線に押されるように後ずさり、扉が閉まる。

15 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:40 ID:42mxj6vs

「……なに?今の誰よ?」
部員達は呆然とする。
再び扉が開いて、
「あ、やっぱり失礼します。ごめんさい」
二度目に彼女が顔を出したときには、陰鬱な雰囲気は白けた空気に変わっていた。
すたすたと私の方に歩み寄り、涙だらけの私の顔を不思議そうに見て
「忘れ物。お届けに来ました……んすけどー」
差し出されたのは、私のラケットバック。
「え?」
新品のラケットを持ち帰ったからバックは二つ持ってきたんだった。
普段は部室備品のラケットを使っているため、小ぶりのバック一つで部活をしていたので
忘れてしまったのだろう。
「ありがとう……」
御礼を言うと、川原で出会った少女はニヤニヤ照れくさそうに微笑んだ。

16 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:40 ID:42mxj6vs

「それが盗品?貸しなさいよ!」
同級生の部員が私の手からバックをひったくった。
虚を付かれた顔をする川原の少女。
悔しさを噛み潰す私を見て、すぅっと冷え冷えした表情に変わっていった。

――なんであなたにまでそんな目で見られなきゃいけないのよ!
怒りを叫ぶ代わりに声を殺して涙をぽろぽろ流しつづける。
私の心はなんて脆弱な作りをしているんだろう。
みっともないぐらいに威嚇に脆くて、情けないぐらいに悪意を感じやすい。
こんな脆弱な心では、未来に向かって胸を張って生きる力がないんだと、
行く先に絶望してまた泣けた。

「ほら、これ先輩のラケットですよ!やっぱり石川――」
鬼の首を取ったような声に、私は驚くことも出来ないほど怯えて
自分の殻に引きこもっていた。
盗ってない、と主張できずに、苛めないで苛めないでと耳を塞ぐ。
悪化する一方の私の立場を救ったのは、
「……ちょっと失礼」
川原の少女だった。
彼女は剣呑な顔つきで私の手を取って部室から引っ張り出そうとした。

17 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:41 ID:42mxj6vs

「ちょっと、逃げる気!」
「うっさいなぁ。こんな状況じゃこの子が言い訳も出来ないだろ。
 作戦タイムだよ」
「言い訳なんかする必要ないでしょ。本当のことを言えばいいだけよ」
先輩の声は女王の威厳に満ちていた。
反論を許さない声色、楯突くしまもない正論だ。
それを少女は一息で、はっ?とあざ笑った。
「この子が本当のことなんか言える状態に見える?
 逃げるって言うけど同じ学校の部員がどこに逃げられるって言うんだよ」

私は少女の背中しか見えなかった。
少女にしては広い背中は、真っ赤に焼け爛れた鉄板のような近寄りがたさを感じた。
この子は――強い。
吹きすさぶ風を身に含めて燃え盛る炎のように、敵意を受けてますます燃え盛る。
赤いキャミソールが火影のように揺らめいて見え、
私は庇護されているはずの少女に怯えた。

部員達を制圧した少女に逆らえるわけもなく、
私は涙をこぼしながら手を引かれるまま歩んだ。

18 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:42 ID:42mxj6vs

どこかの段差を降りた。
半ば閉じたまぶた越しに強い陽光を感じ、外に出たことを悟る。
私は背中と肩を押されて校庭のベンチに腰を下ろした。

泣きじゃくる私の横に座った少女が、なにやらがさごそと音を立てていた。
目の端で見ると、ショルダーバックからパンと紙パックジュースを取り出して
パクつき始める。

何分間続いただろうか。
その間に私は泣き声と涙を捨てさることに成功し、だけど傍らの少女に接触する術もなく。
じっと俯いていた。

じーじー、みんみんと鳴り響くセミの声と真っ白な熱線が、私の頭の回路を焼き切っていく。
ああ、夏だ。
肌をつき抜ける光、纏わりつく暑気。
この土地のこの季節が、回転木馬のようにぐうるりと巡ってくる。
記憶の木馬に乗って暦を回想してゆくうちに、ふぅっと心の枷が緩んでいく。

心中の澱を流すように細く深い息をついたら、
「食べる?」
少女がかじりかけのベーグルを千切って、歯形のないほうを差し出してきた。
受け取って、大きくがぶりとかじる。
泣きすぎてカラカラになった喉に、パン生地は粉っぽく張り付いた。
目を白黒させていると、少女が紙パックを手渡してくれた。
オレンジ牛乳とロゴが描かれている。
詰った塊を流し込もうと勢いよく飲んだら、ほぼ空になってしまった。
「……ごめん、いっぱい飲んじゃった」
「別にいーけど」
少女はもぐもぐとパンをかみ締める。

19 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:42 ID:z6CXyynY

「部活で嫌われてるの?」
ひゅうと吹くそよ風のように何気ない言葉をかけてきた。
余りにあけすけな質問内容に私は苦笑した。
「いきなり凄いこと聞くんだ」
「凄いかな」
少女はちょっと私の方を見ただけで再び手元に目を戻し、
満ち足りた表情でベーグルをかじり続ける。

様々な顔を持つ少女だ。
初めてあった時の大空のような目。
部員を排除する熱砂の目。
そして焼きあがったパンのようにあったかい顔もできる少女に、
私は直感するものがあった。
それは信頼、と呼ぶにはいささか弱い感情だ。

藁にもすがるという言葉もあるし、旅の恥はかきすてという言葉もある。
通りすがりの少女に苦い気持ちを礫にして投げつけて、
私の痛みを理解して欲しかったのかもしれない。
王様の耳はロバの耳、と叫ぶための穴を、少女に見出していたのかもしれない。
とにかく、私の口は驚くほど軽く開いた。

20 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:43 ID:z6CXyynY

「私は高校からの編入組だから、エスカレーター制の学校に馴染めてないのかも」
それだけじゃないけど、
と小声で付け足したことを少女は丁寧に拾ってきた。
「何か嫌われる心当たりがあるんだね」
「そう。私はあんまり人に好かれる性格じゃないみたい」
すると少女はまじまじと私の顔を見て
「なるほどねぇ」
自分から言い出したこと故に、まことに身勝手ながら、
そんなことを顔を見られて納得されれば反感も湧く。

「……なにがなるほどなんですか?」
「わかるよ。石川さんは女の子から嫌われやすそうな人相してるもの」
「なっ……」
頭上に金だらいが振ってきたようなショックを受けた。
年頃の娘である。顔に文句をつけられてへこまない訳がない。
人相。よりによって人相。
直しようがないではないか。

「そんな顔しないでよ」
私はどんな顔をしているのだろうか。
悪い人相に磨きがかかって、指名手配犯のような顔でもしているのだろうか。
どんどん落ち込んでゆく私に、少女は可愛らしい顔で、
「あのね、石川さんが綺麗な顔してるってことなんだよ」
「え?」
「女の子が見てて憂鬱になりそうなほど、綺麗な顔してるってこと」

意外な話の展開だった。少女を見ると、ふわっと笑いかけられた。
「あたしは綺麗な人の顔見てるの、好きだけどね」
頬が熱くなる。
すぐに少女から目線を切った。
綺麗という言葉を、こんなに綺麗に贈られたのは初めてだった。
胸がどきどきして体中が熱っぽくなっているのに、
少女の声はひんやり心地よく胸に沈んでいった。

――石川さんが綺麗な顔をしているってことなんだよ。

「あれ?」
ひたひたと広がる甘い情感をゆっくり反芻しているうちに気がついた。
「どうして私の名前を知ってるんですか?」
「それは企業秘密です」
「――部室で呼ばれてたからだ。そうでしょう?」
「さあねぇ」
「なによそれ。だって他にないでしょ。そうなんでしょ?」
少女はくくく、といたずら小僧のように笑うだけだった。

21 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:46 ID:QimEEFIk

「五メートル。絶対入るね」
少女は私の背中の方を見て言った。
視線の先にはゴミ箱がある。
空になったジュースの紙パックを握りつぶすと、えいとゴミ箱に向かって放り投げた。
高い弧を描いて、橙色の紙箱が金網の筒の中に吸い込まれる。
「インっ!」
少女が快哉を上げた。
ガッツポーズをした手を組み合わせ、掌で空を押し上げるように伸びを打つ。
「そろそろ石川さんの部室の方も落ち着いてるんじゃないかな」
「……そうね」
問題が何も片付いていないことを思いだした。

「私、本当に盗んでないんだよ。どうしよう」
「『どうしよう』じゃなくて『どうして?』だと思うけどなぁ」
「あなたはドロボウ扱いされてないからそんなこと言えるんだよ」
「そぉねぇ。まぁ解決は時間の問題だとも思うけど……」
と、少女は小首を傾げた。
「時間の問題って、また他人事だからって……」
不平を嘆く。
少女はきりりとさせた目を真っ直ぐに向けて、何かを考えている様子だった。

やるか。
少女はそんな風に呟いたように見えた。

「ねぇ、部員の携帯番号とかってわかる?」
「それはもちろん知ってるけど」
「じゃ、ちょっと呼び出して欲しい人がいるんだけど」

22 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:47 ID:QimEEFIk

険しい顔つきの同級生と先輩に詰め寄られても、少女は飄々とした態度を崩さなかった。

「あんた部外者でしょ」
「うん、部外者だからなんだよね」

少女がベンチから腰を上げたので、私も追従して立ち上がる。
――やっぱり私より背が高い。
ふと、そんなことを考えてしまう。

「テニス部の方々は頭に血が上ってたけど、あたしは割り込んできた部外者だったからさ。
 すぐに変な所に気がついたんだ。石川さんがドロボウだったらおかしいじゃん」
少女の脇で所在なさげにおどおどしている私に目が集まった。
きゅっと拳を握って、せめて目を伏せないようにと気を張った。

「なんで部室で盗んだものを持って部室に来るの?落ち着いて考えてみなよ」
先輩は目をぱちぱちさせた。
対照的に、同級生は目を糸のように細めて唇を噛む。
「――犯人じゃない、って思わせるために演技したのかもしれないじゃない」
「んな馬鹿な演技あるかぁ?」
少女は一笑に付した。
それをきっかけに少女は雰囲気を変える。
からっと乾いた空気の中に向けて、ぱっと火の粉を降りかけたように。

23 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:48 ID:QimEEFIk

濃縮させた瞳の中に、刺々しい粒を浮かべて一歩。
少女が踏み出すと、同級生はぴくっと口元を引きつらせた。
「盗んでないものが石川さんのバックにあったんだから、誰かが入れたんでしょ。
 誰が入れたのかってのは、石川さんをすげー嫌ってる人でしょ」
土の上を滑るように二歩。
「だから、あんただ」
宣告され、同級生が声を荒げた。
「その子を嫌ってる奴なんかテニス部にはいくらでもいるわよ!」
「部外者のあたしから見ればそうでもない――と思うけど。
 けっこう石川さんを庇いたげな人もいたような――まぁいいけどさ」

少女の三歩目で、同級生は風に流されるようにふらっと後ずさった。
先輩の背中で半分身が隠れる場所に立つと、
「証拠はあるの?証拠もないのに人を疑うわけ?信じられんない」
濁った目を歪めた。
どういう了見なのかまるっきりわからないその言い草は、私の胃を沸騰させた。

「ふざけないでよ!私をドロボウ扱いしておいて――」
少女が振り向いた。
口を挟むなと冷たい目で制されて、私は同級生と同じ威圧を受けて声を止める。
ぎろちん。
なぜか少女の姿に、凍えた広刃を備えた断首機のイメージが重なった。

少女は裁判官さながらの冷酷さで続ける。
「あたしは証拠なんてもってないけどさ。警察が調べればポンポン出てくるかもね。
 ドロボウ事件だもん。届けなきゃ」
警察という単語でひどく動揺した同級生に、少女は四歩目を進める。

少女と同級生は、もう手の届く距離。
間に立つ先輩とは目線が合わないほど接近している。

24 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:49 ID:QimEEFIk

「指紋はつけてない?アリバイは持ってる?――そこまで考えてないって顔だね。
 ねぇ、ここまで大騒ぎにするつもりなかったんでしょ?
 石川さんが家でバックを調べてたらそれで終りじゃん。
 厄介な揉め事やいい争いが起きるかもしれないけど、その程度でよかったんでしょ?」
少女の語気は決して荒くもなく強くもないのに、一つ一つに胸を打つ迫力があった。

「でも、あんたは土壇場の勢いで石川さんをドロボウにした。
 ――覚えているよ。あんたは楽しそうに笑ってた。
 だからその時、あんたがろくでもない奴ってのがわかったんだ」
少女はゆったりとした動作で同級生の両肩を掴むと、
口づけをするように顔を近づけて低い声で言った。

「その場の思いつきで人を泣かせて自分は笑うような奴なんか、
 性根が最低に汚いんだ」

それで同級生は、人の中心にある何かを打ち壊されてしまった。
真っ青な顔をして目に涙を浮かべて震えていた。

25 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:50 ID:QimEEFIk

先輩が手を横に広げ、少女と同級生の間を分かち合った。
確認するように少女を見る。
少女がうなずくと先輩は、
「なんでこんなことをしたの」
同級生を静かに問いただした。

「なぜって……嫌いだからですよ!」
わかっていたことでも、剥き出しの悪意をぶつけられるのはやはり辛い。
私の喉と目元はひりひりと熱を持って痛んだ。

「でしゃばりで性格最悪のくせして、色目や泣き真似ばっかり上手くて、
 テニスは大して上手くないくせに!」
ぼやけた視界の向こうで、同級生もグラウンドの上に涙のしみを作っていた。
「なのに次の試合に石川を出すんでしょ?なんでよ!コーチから聞いたんだから!」

喉を裂くような悲鳴の後には、水を打ったような沈黙が訪れた。
――私が試合に?
今、初めて聞いた。
二学期を迎える前に一年生を試合に出すというのは、
幾多もの有名選手を輩出している伝統あるテニス部のセオリーから外れた行為だった。
誰しもがレギュラーを狙って爛々と目を輝かせている最中に、
そのようなことをされては心を乱されても仕方ない。
現に私も嬉しいというよりは、困惑の方がよっぽど先立ってしまっていた。

26 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:50 ID:QimEEFIk

「馬鹿だね」
先輩がぽつりと呟いた。
「私も石川のことは嫌いだよ」
先輩の『嫌い』は、同級生のよりも落ち着いているだけに痛くはないが重苦しい。
「声や仕草が嫌い。審判に突っかかるし生意気だし、
 コートの中でも外でも余計なことばかりしてる下手くそだしね」
日頃から言われ慣れている事柄なので、妥当な意見かとも受け取れた。

「でも、石川の一歩目の踏み出しは正確で速いの。
 それはあんたもわかってると思うけど、だから潜在的にも石川を嫌っちゃうんだろうけど。
 ――下手なくせに勘がいいのよこの子は」
思いがけない賛辞にどきりとしたが、同級生の獣のようなうめき声を聞いて
再び心は固く縮こまる。
「石川は一年で一人だけ別の中学でしょ。ぬるい部活をやってたみたいだから、
 早めに使って怖い試合を覚えさせようって三年みんなで話し合ったわけ。
 今すぐ使えるなんて、これっぽっちも思ってないわよ」

さすがの先輩も、痛々しい場の雰囲気に辟易していたのだろう。
肩をすくめておどけて見せた。
「これで満足?二人とも――いえ、三人ね。怖い顔した部外者さん」
少女は軽くうなずいた。
「あの、私も――」
なぜそんなことを口走ってしまったのか、自分でもわからない。

「私も実は、先輩のことは嫌いなんです。
 でも先輩としてとかテニスプレイヤーとしてはすっごく尊敬してます」
先輩は心底嫌らしそうに私をじろりと見た。
「あなたは一言多いし、変な媚売るから嫌いなのよ」

27 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:50 ID:QimEEFIk

日の色は赤く沈み、セミの鳴声は益々大きくなっていた。
「ありがとう部外者さん。事を荒立てないでくれて感謝するわ。後始末ぐらいは任せて――」
先輩が颯爽と立ち去ると、取り残された同級生はぎりりと私を睨んだ。
私の心を縛り付けるような顔を残し、彼女は先輩の去った方向と逆の方へ消えていった。

少女と二人だけになると、私はハンカチを取り出して涙と一緒に額や首筋の汗を拭った。
汗は気温だけのせいではない。小心なのだ。
比べて、少女は涼やかで汗一粒かいていない。
厳格で固めた姿をさらりと溶かすと、少女の周りに人好きのする穏やかな空気が戻ってきた。

「――ありがとう」
「行きがかりだし。それにこれも私の使命みたいなものだからね」
「使命?何が?」
「困っている人助け」
本気なのか冗談なのか区別のつかないような薄っぺらい表情だったので、
私はへえーと意味のない相槌を打って話を続けた。
「あなたの名前、聞いていいですか?」

少女は顎に手を当てて首を傾げた。
先ほども、こんな格好をしていた。
この角度で首を傾けるのが考えるときの癖なのだろう。
「天使――だっていったらどうする」
待たされた挙句に、あんまりな回答だった。
軽い憤りを覚えた私に、少女は猫のアクビのように人を食った笑い方をした。

「それじゃ。部活頑張ってね」
少女は私に背中を向けた。
ゆるゆると歩いて私との距離を離しながら、
日焼けしてない左腕をふんわりと掲げて別れの挨拶をする。
白い片翼を広げるように。

28 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:51 ID:QimEEFIk

あれほど部員の感情を昂ぶらせたあの事件は、自然に収縮していった。
『真実』は、私が間違ってバックを持って帰ってしまった、
ということになっている。
そのためにわざわざ私と同じラケットバックを購入してきて、
「ほら、石川と同じバックだったから」
と、やってくれた先輩には頭も下がるし、お金持ちは――と呆れるところもあった。

先輩はあいかわらず私のことが嫌いで、感情的な暴言を私に吐きつけながらも
従わざるを得ないような的確な指導をしてくれている。
私を陥れた同級生もそのまま在部していた。
もともと練習熱心な子だったのが、さらに練習に打ち込むようになった。
彼女からは時々刺すような視線を感じることもある。

そんな時、私は痛む心をこらえて俯きながら私の天使を思い出した。
私を綺麗だと言ってくれた少女のことを――

これから私はあんなに素敵な言葉を、いくつ手に入れることが出来るのだろうか。
あの言葉を胸にしまって以来、私は身も心も全て綺麗に見える人になりたくなった。
私も、背中に翼が見える少女になりたかった。

そして私の手元には、まだ一つの謎が残っている。
この辺りに学校は幾らもあるし、私は高校生だなんて一言も言っていない。
あの少女がどこで『私の通う高校』を突き止めたのか、ということだ。

だが、それはささいな問題のようにも思えた。
――だって彼女は天使なのだそうですから。

天使のままでもいいじゃない。
歯ごたえに腰のあるベーグルや温くて甘いオレンジ牛乳と一緒に
夏の暑い日の記憶として焼き付けてしまおう。
私は少女趣味的な感傷で彼女の正体を追求することを止めてしまっていた。

白い羽根を背中で羽ばたかせ、熱に乾いた真っ青な大空を舞う。
淡く美しい翼の幻影を追いかけて、私の夏はまだ続く。

29 :名無し娘。:2001/08/19(日) 17:51 ID:QimEEFIk
< 一 自称天使 >

30 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:12 ID:93TXddrU
移転おめ
もっと目立つスレでやっても全然OKなクオリティなのに、
勿体ないなぁ…

31 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:24 ID:7UcvW9D6
>>30
ありがとうございます。
ちょっとした浮気心で始めたものですので、適当にやっていきます。

「隠れてやりたい」という意思があるわけではないですが、
この混乱のさなかに新スレ立てる気にもなりませんし。

32 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:25 ID:7UcvW9D6

にゃあ、と、か細く鳴くノラ猫の声を道の端で拾うたびに、
私は足元が崩れるような錯覚を覚えて立ちすくむように
なってしまったのだった。
                               < ニ 猫の重さ >

33 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:26 ID:7UcvW9D6

悪夢のような練習試合が終了して、
我がスパルタテニス部にも夏期休暇と言える時期が来た。

といっても部活がまるっきり無くなる訳ではない。
体を休めるために運動量が減り、代わりにトレーニングメニューや
自己達成目標などの話し合いが多くなる。
午前中は先の試合について、先輩にこっぴどく絞られた。
昼休みを迎えた私がとぼとぼと重い足取りで学食に向かうと、
学食の券売機に並ぶ列の中に見慣れた姿を見つけた。

「柴ちゃん」
「梨華ちゃん。お昼ご飯だ?」
「そうだよ」
糊がビシッと利いたブラウスの胸元を少し開けて風通しを良くしている。
小脇には楽譜の印刷された藁半紙の束を抱えていた。

「音研も部活あるんだ」
音楽研究会の略称である。
「あるよぉ。もう、毎日バリバリ弾いてる」
「ピアノってバリバリ弾くもんじゃないんじゃないの?」
「そういうラフな演奏スタイルもあるんですよー」
制服を程よく着崩したうら若きピアニストと話しながら
肩を並べて学食に入った。

「ラブ?」
柴ちゃんはチキンソテー定食、私はすうどんを注文した。
品物をカウンターで受け取ると、空いている席に腰を下ろす。
数年前に新築された校舎の中にある学生食堂は簡素な造りだが、
潔いぐらいに広々とした殺風景さは清潔な空間として
良い風に見えなくもない。

「ラブ、ですか?」
柴ちゃんはもう一度繰り返した。
「そう、ラブ」
私も繰り返す。
暗号のようなやり取りをしたあと柴ちゃんが、
「ふうん、『男と女のラブゲーム』だ。親戚のオジサンとかがカラオケで歌うよね」
「――言うと思った」
やれやれと頭を振って呆れてみせると、
柴ちゃんは酔っ払ったサラリーマンの真似をして
調子外れに古い歌謡曲の一節を歌った。

柴ちゃんは高校の一年先輩である。
中学でも一年先輩であったし、小学校でも幼稚園でも一年先輩だった。
湯気を立てた煮物がやり取りされるような家の娘同士であったため、
柴ちゃんは私が生まれた時からの一年先輩だった。

34 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:26 ID:7UcvW9D6

「で、ラブゲームって何?」
だからと言って、何もかも分かり合った仲という訳でもない。
柴ちゃんはスポーツには余り関心を持たない方だ。
私がドヴォルザークとブラームスの楽曲を聞き分けられないように、
柴ちゃんはテニスとバトミントンのルールを取り違えてしまう。

「どっちかが一点も取れないで終わったテニスのゲームのこと」
おそらく柴ちゃんはゲームというテニス用語を
正確には知らないだろうが、意味は通じるだろう。
「へえ。で、梨華ちゃんは勝ったの?負けたの?」
「……見ればわかるでしょ」
私はすうどんを割り箸でぐちゃぐちゃとかき回した。
「そんなんしたら、食べられなくなっちゃうよ」
「いいもん。叱られすぎて食欲ないし」
「お百姓さんが泣きますよ」
柴ちゃんは洗練された女の子みたいに見えるくせに、
縁台でお茶をすするお婆ちゃんの知恵袋から取り出したような発言をよくした。

「ご飯を食べない梨華ちゃんは、ますます元気がなくなってぇ、
 元気を無くした梨華ちゃんは、ますます先輩に叱られるぅ、
 ヘマをする。ヘマをする。ヘマヘマヘマヘマ、ヘマだらけ」

柴ちゃんが小さな声で、だがよく耳に通る声で歌った。
コミカルなミュージカルに使われそうな明るいメロディーが
オリジナルの即興だとしたら、たいした物だが。
「――ますますのヘマで悪かったですね」
笑劇の狂言回し扱いされた私が頬をぷぅと膨らますと、
柴ちゃんは可憐な口元をにっこりさせて、歌の続きを柔らかく奏でた。

「だから、ご飯を食べましょう」

35 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:27 ID:7UcvW9D6

柴ちゃんは私の話をよく聞いてくれる。
誰も聞きたがらないような私の愚痴を前にして逃げ出さない、
貴重な人材だった。
さっぱりした性格の柴ちゃんがグズグズしがちの私を
上手く切り回してくれるからだろう。

「部活きついよー。私にはやっぱりこの学校はレベルが高すぎるのかなー」
思ったことをそのまま口にしていくと、
「高校に入学してから梨華ちゃんの文句は、
 ずっと同じパートのエンドレスリピートだね」
穏やかな柴ちゃんに指摘され、いつまでも進歩のない事を
言っている自分に気がつかされて恥ずかしくなる。

「だってぇ」
やり込められた悔しさを込めたつもりが、甘ったれた声になった。
「この所いい事がちっともないんだもん。
先輩はイジワルだし部活ばっかで全然外で遊んでないし」
もう夏休みも半ばを過ぎているというのにだ。

制服を着て行き来する道中に、背中の大きく開いた
可愛らしい服を着た女の子とすれ違ったりすると、
――私の青春はどこに行っちゃったのよ?
などと眩しい太陽に向かって叫びたくなる。

「でも肌はよく焼けてるねぇ」
「……もともと地黒だもん。その上に部活焼けだもん」
「でも夏っぽい色してるよ。ほら、私なんか部屋でピアノばっかだから」
柴ちゃんがテーブルの上に白い腕を出した。
隣に私の腕を並べて比べあう。
すべすべした柴ちゃんの白い腕を見て、
私は嫌な出来事をまた一つ思い出して憂鬱になった。

昨日、私は柴ちゃんよりも白い腕を持った天使と
諍いらしきものを起こしたのだった。

36 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:28 ID:7UcvW9D6

昨日は練習試合のために他校に赴いた。
電車で二駅県の海側に向かった観光地区にあり、テニスコートからも潮騒が聞こえる。
周囲に立ち並ぶホテルに混じっても違和感のないような、綺麗な新設校だ。

うちの学校がテニスの名門と呼ばれるならば、対戦相手の学校は新進気鋭の強豪校。
私は第一試合に出場した。
対戦相手は同じ一年生であったのにもかかわらず、一点も取れずに負けてしまった。

「これはまた随分と盛り下げてくれたわね……」
あんまりにも一方的な試合展開に、いつも意地悪な先輩すら私を怒鳴りつける気力を
奪われたようだった。

同学年の部員達は冷たい目を注いでくる。
そのラケットを捨てろ、その席を立って譲れと無言の圧力をかけてくる。
私はすみませんすみませんと、誰に向かってなのかわからないまま謝りつづけた。

「でもかえって燃えない?次の私が二戦目ラブゲームで返したらカッコいいかな?」
温厚と言うよりも、なんでも面白がるような先輩がラケットをブンブン振った。
「そんなこと出来たらランチ奢ってあげるわよ」
意地悪な先輩が苦笑すると、楽天家の先輩は天にラケットをかざして
一人はみんなのために、みんなは一人のために、
と朗朗と宣告した。
「みんなー?石川の敵討ち、がんばりまっしょい!」

惜しくも一点取られてランチを逃がした先輩を始め、
他の試合は全て私の学校の圧勝で終わった。
部内が険悪な雰囲気になることは避けられたが、私の気分は最悪だった。

先輩方は空から降るライトを受けて舞台を跳ね回る、華麗な剣士達だった。
私は登場していきなりバッサリ斬られてしまうようなやられ役だ。

37 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:28 ID:7UcvW9D6

帰路につく私のラケットバックは疲労と慙愧でニ割増は重く感じた。
賑やかな駅前中心街を歩むのは久しぶりだ。
帰りには寄り道をして買い物を楽しもうと計画を立てていたのだが、
もはやそんな心境ではない。

か細い腕を絡めあって嬌声をあげる少女たちにぶつからないように歩く。
揚げたてのフライを思わせるおばさんとすれ違う。
ビーチボールを抱えながら濡れた頭の子供たちがバスから雪崩れてきた。

穏やかで華やかな色彩に満ち溢れる素晴らしい世界の中で、
私一人がモノクロに沈んでいるのではないだろうか。
思いついた考えを、私はすぐに否定した。
――モノクロを悪く使ったらいけないな。

昨年の文化祭を思い出していた。
大人びた黒いドレスを着て、黒いグランドピアノの白い鍵盤を愛しげに撫ぜる
柴ちゃんは息を呑むほど美しい。

世の中には物の数だけ色がある。
時の流れにうつろう色の中で過ごすうちに、私は様々な色に染まるだろう。
いつか私に相応しい色との出会いがあるはずだ。
きっと。いつかきっと――

突拍子のない発想から心を明るい方向に転がして、私は自分を元気づけた。
まず、下を向いているのがよくない。
ふっと顔をあげたら、遠景の一角に白一色のワンピースの背中が飛び込んできた。
指の長さほどの姿から、私は一瞬で判別がついた。
天使だ。

38 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:31 ID:HpStcjHc

左肩が大きく開いて肌が見えるデザインは今風でありながらも品がよく、
以前に会ったGパンスタイルよりもよっぽど天使らしい。
彼女の隣には、似たようなデザインで薄緑のものを着た少女がいた。
天使と会話を交わしている横顔が見えた。
洋画のヒロインのように、スクリーンから浮き上がるような力強さがある。
天使とは趣が異なる美少女で、二人が並んでいると水彩画とポスターイラストを
並べて飾っているようだ。

とっさに早足になっていた。
距離を詰めると、連れの少女に話している彼女の肩を軽く叩いて、
「天使さん!」

大声を口にしてから、あっとなった。
案の定、彼女も彼女の連れも、きょろっと大きく目を剥いて振り返った。
ばかりか、周囲の視線も集まっている。
私は身を固めた。
他に彼女に呼びかけられる名前を知らないのだから仕方ない。
ええい、と開き直って
「お買い物ですか?」
無言のまま、ありふれた風景を眺めるような乾いた目の少女に不安を覚えた。
私は不器用に笑顔を作って見せたが、少女の様子は変わらない。

39 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:33 ID:HpStcjHc

ぎこちなく停止した場を動かそうと、連れの少女が彼女に言った。
「ねえ、知り合い?」
私を牽制するような声色がかすかに含まれていた。
こわごわと天使の彼女を見たが、彼女の視線は連れの少女だけに注がれていた。
そして、彼女の言葉は耳を疑うものだった。
「知らないよ。人違いじゃないの?」

「――え?石川ですよ。先日お世話になった」
天使は輪郭の緩やかな顔に真摯な表情を乗せ、一字一句、かみ締めるように言う。
「だから、知らないって」
「ええー、なんでそんなこと言うんですか?ちょっと意地悪ですよー」
彼女の腕を掴んだら、連れの少女にやんわり肩を押されて離された。
きりりとした連れの少女はキャッチセールスを相手にするような無関心を装って
「いこ」
彼女の背中を押して歩き出した。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
少女がぐるりと体全体で振り返る。
「あんたちょっとしつこいっ!」
険しく吠えられて動けなくなった。
それっきり、彼女と少女は私がいなくなったように振舞った。
遠ざかってゆく二人の会話が耳に入る。
「変なのにはキチっと言ってやんなきゃー」
負け試合でも出てこなかった涙が出た。

40 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:34 ID:6lo9qY/g

何度考え直しても、彼女から無視される理由は思い浮かばなかった。
窮地を救ってもらったとき以来、なんのやり取りもないのだから当然だ。
私は優しい思い出にひびを入れられたことを諦めるしかなかった。

そんなこんなの日々を続ける今の私は、
間違えなく今にも泣き出しそうな曇天模様の空の色。
灰色だ。
柴ちゃんの歌ではないが、何をしても『ヘマだらけ』になってしまいそうな
気がしてたまらない。
午後の部活は明るい真昼のうちに終了した。
また何か嫌なことが起きないうちにと、いそいそと学校を出た。

川原へと繋がる住宅街の道路で、にゃぁという声を聞いた。
頭上から。
見上げると、ジャージ姿の少女が電信柱に蝉のようにしがみ付いている。
おろし立ての生地をしている臙脂色のジャージの肩には、
私の出身中学の学章が白い糸で刺繍してある。
にぃにぃと辛そうに鳴きながら電信柱から降りて来た少女は
地に足をつけて安堵の一息ついて、ようやく観察者に気がついたようだった。
「あ――」
あどけない顔を恥ずかしげに赤らめる。
見ない振りをするよりは、声をかけてあげたほうがいいだろう。

「何をしてたの?」
「猫、探してるんです」
「あ、関西弁だ」
砂糖菓子のような少女の甘い声と独特のリズムを持ったイントネーションが混ざると
愉快に聴こえた。
私が無邪気にはしゃいでもらした一言に、少女はつぃっと下唇を突き出して睨みあげてきた。
「関西弁、ちがいます。ちゃんと標準語、しゃべってます」
声を尖らせて、平淡な口調で単語をバラバラと区切って並べる。
それでも、やっぱり関西弁を感じさせるところがとても可愛らしい。
「ゴメンね。そういうつもりじゃなかったんだけど」
出身地で面白がられるのは不快だろう。
軽はずみな言動を反省する。

41 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:35 ID:6lo9qY/g

「猫、迷子なんです。見ませんでしたか?」
少女はジャージのポケットからミニアルバムを取り出して開いた。
パラパラページをめくる少女の肩越しに覗いてみると、
全ページが同じ猫の写真で埋められている。
子猫から成猫までと時代こそは異なっているが、
それは口の周りだけが黒い白い猫と、この少女だけのフォトアルバムだった。

「いなくなったのは、いつから?」
私の問いに、少女は眉を曇らせた。
「三週間ぐらい前……」
「夏休みが始まるぐらいだ」
「そうです。うち――私は、引っ越してきたんです。
 その時ごちゃぁーってしとっ、てた、から」
関西弁を必死に打ち消そうとして、奇妙に喋る。
「荷物いっぱい、見てたから、逃げちゃった、ってお母さんが言いました」
少女はしょぼんと俯いた。
「毎日、ずっと、探してるんですけど、この辺よう、わからない、ですから、
 うちが迷子になっちゃう……」

何か、してあげられないだろうか。
地元民として先輩として、愛らしい少女を助けてあげたかった。
だが如何せん。
ヘマばかりの高校生に、思わず柏手を打つような良案が浮かぶわけがない。
「訊ね猫の張り紙してみたら?」
ありふれた意見を述べただけで、少女の顔はぱぁっと輝きだした。
「それやります!今すぐやります!ありがとうございました」
イントネーション全開だった。
少女は時を惜しむように駆け出した。
迷子にならないかと案じながら見送ると、私は再び歩みだした。
人助け――と言うにはあまりにもささいな行為であるが、
少女の笑顔は弱りかけていた私の心に暖かいものをくれた。
――情けは人のためならずって、こういう事なのかしら。

足取り軽く川原の道を進んでゆくと、声をかけられた。
「やーやー、部活お疲れ様」
真っ赤なTシャツとデニムのホットパンツ姿の天使が、土手からのっそりと上ってきた。

42 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:36 ID:6lo9qY/g

<        ここまでが移転分 (若干の加筆修正あり)      >

43 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:38 ID:.0JRQIsk

背中がずしんと重くなった。
目を伏せてそのまま通り過ぎようとした私の前に、彼女が立ちふさがる。
「怒ってる。怒ってるね、さては」
その脇を鰻のようにつるりと抜けると、歩幅を伸ばしてスピードを上げる。
彼女は腕を小さく振り、ジョギングでついて来た。

「ねぇ、聞いてよ。けっこう待ってたんだからさ」
背後から手首を掴まれて強引に足を止められた。
私の手首が長い指に巻きつかれて、彼女の掌に容易く掴みこまれる。
その力強さが私の感に触った。
大熊のぬいぐるみのような害のない顔をしてはみせるが、
怒りに乗じて思い返せば、この天使がやることなすこと全て自分主導の
自分勝手なものばかり。
――天使様だが知らないけれど、そんな傲慢な天使に振り回されてたまるもんか。

掴まれた腕を力任せに前に引いたら、少女がつんのめった。
私の肩にがつりと硬いものが当たる。
小さな悲鳴が首筋に触れた。
首を右に傾けると、私の背中を抱き締めるようにしがみ付いた少女がいた。
薄紅が引かれた唇の端に赤い切れ目が入り、じわりと血がにじでいる。
彼女は体を立て直すと
「――ごめん」
ちろりと舌を出して傷を舐め、手の甲を唇に押し当てた。
手についた血の形をまじまじと眺めて、幾度も傷の上に舌を回す。
私は上着のポケットに手を差し入れて、空色のハンカチーフを握った。
逡巡の後、私は少女の傷口の上にハンカチを押し付けた。

吐息が私の指を掌を沿って涼感を受ける。
薄い布の下で少女の口元の動きを感じた。
「ありがとう」
「――なによぉ。ばかぁ」
彼女の前で口を開けば、私はおかしくなってしまう。
気がついていたから、彼女の前から早々に逃げ去りたかったのだ。
少女は私の手からハンカチを取った。
血のついた面を折り返して綺麗な場所を表にすると、そっと私の目元を拭った。

44 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:47 ID:8DwQhJ6M

人前で泣くのは大嫌いなのに、小さい頃から私は泣き虫扱いだった。
カっと頭に血が上りやすく、気がつくと声を枯らして目に涙が溜まっている。
感情のコントロールが下手なのだ。
今回も感情を爆発させてしまった私は、
同学生が行き交う往来の真ん中で恥知らずな声をあげて泣いてしまった
胸一杯に後悔を溜めて、川原の芝生に陰鬱と座り込む。
抱えこんだ膝の中に半分顔を隠した私の横で、
天使は胡桃を割るリスのようにベーグルを両手でつかんで食べつづける。

泣かせたのは彼女の態度であったが、泣いたのは私の弱さである。
所構わぬ駄々をこねた私の傍らに、自然体の彼女がいることがたまらなく悔しくなった。
二人の間に置かれた紙袋の中に勝手に手を突っ込んで、ベーグルを取り出して食べてやる。
それで彼女が腹を立てることもなく、
「美味しいものを食べると心が落ち着くよねぇ」
などと、ひどく世俗臭いことを言う。

天使の口車に乗っかれば、悪いのは私ということになるようだ。
「プライベート中に天使だなんて呼ばれてもすっごく困るんだよね。
 私が天使やってることは、周りには秘密にしてるんだから」
天使というのは、やるものらしい。
あえてその辺りを迂回して、私は彼女とのトークを弾ませる方向に展開させる。
「天使のプライベートなんて聞いたことないよ」
「ああ、ひどいな。石川さんは天使を過労死させる気なんだ。天国が天使手不足になるじゃない」
目をくるりと光らせる。
どこまでが本気だかわからない茫洋な雰囲気もあるから、彼女は怖い。

45 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:48 ID:8DwQhJ6M

「目を見れば、あたしの気持ちがわかってくれると思ったんだけどな」
「無理だよ」
あの時の彼女はどんな目をしていただろう。
張り詰めた雰囲気しか思い出せなかった。
「あたしはわかるよ。目を見ればなんとなく気持ちがわかる。
 石川さんの気持ちもわかるよ」
「え?」
こそばゆい気持ちになった。
「まだ怒ってるでしょ?ていうか、拗ねてる。ほら、もっとベーグル食べなよ」
「――もぉ」
完敗だ。

爽やかな風を受けて私達の髪がなびいた。
私はベーグルのない空いた片手で髪型を直したが、
彼女は束ねた髪を風に弄ばれるままでパン食に没頭している。
「困るなら名前を教えてよ。自分が天使だなんて言ったのはあなたの方じゃない」
するとかじりかけのベーグルを見て、
「じゃあ、べーぐるってのは」
ため息が出るほどふざけている。
「本当に呼ぶよ。ずっと呼んじゃうからね」
「いいよぉ」
「ベーグルさん」
「なんですか、石川さん」
どこまでも能天気を崩さない天使に、プレッシャーを掛けてみたかっただけだった。
「困っている人助けが任務なんでしょう?なら助けてあげて欲しい子がいるんだけど」

46 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:54 ID:wYlACqKo

転校してきた関西弁の少女なんて、その気になれば母校を通してすぐに連絡がつくだろう。
ベーグルさんが件の猫を見かけたら、私に教えて欲しい。
その程度の軽いお願いのつもりだったのだが、ベーグルさんの様子は大きく変貌した。
食べかけのベーグルを丸めて口に押し込むと、考えに浸りこむように川に目をやる。
穏やかに流れる川の表面は小波だっていて、波の背の一つ一つがきらきらと光を反射していた。
心だけを深く沈ませて、ぷっくり頬を膨らませてベーグルを咀嚼している態度は、
自己の世界をひっそりと組み上げる隠者の隔絶を思わせた。

やがて彼女が口を開いた。
「『この猫知りませんか』みたいなポスター張るのって一番ありふれた案だよね?」
「――だから?」
「ああもぉ、すぐに拗ねないでよ。石川さんをバカにしてるんじゃないんだから」
 本当に気持ちを見透かされているようだ。
「他人から言われる前にポスター貼りぐらいはやらないか、ってこと」
「――ただ単に思いつかなかっただけじゃないの?」
「三週間も?」
「思いつかないときは、ずっと思いつかないよ。行き詰まってるときなんか特にそう」
火が消えた蝋燭が細い煙を吐くように、愛猫のことをしょぼしょぼと語った少女だ。
頭の中が猫のことだけで一杯に詰っていても不思議はない。
猫の少女を目の当たりにしていないからか、ベーグルさんは納得いかないように押し黙った。

47 :名無し娘。:2001/08/19(日) 18:55 ID:wYlACqKo

二人で川原を上がった。
「あ」
ベーグルさんの腕を引いて電信柱に駆け寄る。
「このポスターだよ」
猫の写真が載ったモノクロコピーのポスターが張られていた。
崩れた少女字体で、
『猫を知りませんか。
 名前はおーちゃん(口の周りが黒くてヒゲの生えたおっちゃんみたいだからです)です』
から始まって、連絡先の住所、電話番号と続く。
最後に『加護まで』と記入されていた。
「仕事が早いなぁ。さっきの今なんでしょ?」
ベーグルさんが感心している。

「この猫見たことある?」
「ないよ。でも――」
ベーグルさんがポスターに指を伸ばして猫の写真絵を触った。
この手のものは正面顔の構図がよく使われるが、おーちゃんのポスターは違った。
前からだけではなく、後ろや背中からとったもの。塀の上の猫を下から撮影したものなど
様々なアングルからの九枚の写真が使われていた。
――気づいて、お願い。私の猫を見つけて。
ポスターから少女の声が語りかけてくるようだ。

「この子が一生懸命なことはわかったよ。あたしも出来る限りやってみる」
ベーグルさんは両腰にぽんと手を当てた。
「保健所ってどこ?」

48 :名無し娘。:2001/08/19(日) 21:33 ID:5s23e3zY

保健所になど思いを馳せるのも残酷だが、避けられない道でもある。
所在地を知らなかったので、とりあえず私たちは市役所に行ってみた。

環境衛生課という所から、よく日に晒した木の皮のような肌の職員がやって来た。
丸いメガネを掛けた背の低いおじさんは、市役所のロビーの端にあるソファを薦めてくれた。
周りには手続きを待っている人や、職員から何やらの説明を受けている人たちがいる。

おじさんは自販機からホットコーヒーの入った紙コップを二つ買うと、
私たちに差し出した。
「こんなものですみませんが」
恐縮してご馳走になる。
「この市ではね、猫の捕獲は基本的に行っていないんですよ」
おじさんは意外なことを言った。
どこかに刑務所のような檻があり、悲しい顔をした猫や犬が
まとめて納められていると思っていたのだ。
緊急手段だと加護ちゃんに謝りながら、電信柱から引っぺがしてきたポスターの
モノクロ写真を見比べて、おーちゃんを見つけることが出来るのだろうか。
そんな心配すらしていたのに、全てが先走りと言うことになる。

「捕獲と言うのはね、狂犬病、あるでしょ?あれを防ぐ法律に基づいて行っているんですね。
 でも猫は狂犬病にならないから法律で認められてない。だから捕まえません」
「でも、猫狩りって聞いたことありますよ。田舎のおじさんちの猫が狩られたとか」
ベーグルさんが聞いた。
「それはケース・バイ・ケースでしてね。
 ゴミあさりがひどいとか子供を襲うとか、そんな猫がいると訴えがあればですね。
 猫をそのぉ、業者に頼んで捕獲したり、捕獲機を民間に貸し出したりする役所もあるようです」
「市役所なのに法律違反をするんですか?」
私が高い声を出すと、おじさんはすみません、と自分事のように素直に頭を下げた。
「役所には環境を守ると言う義務がありますし、
 住民にも守られた環境にすむという権利もあります。
 野良猫に赤ちゃんを齧られて死亡した、なんて報告もありますから、
 なんとも難しい所なんです」
猫が肉食獣であることを思い出した。
口の周りを血だらけにした人肉喰らいの猛獣を連想して、ぞっと肌があわ立った。

49 :名無し娘。:2001/08/19(日) 21:34 ID:5s23e3zY

十数分の相談を終えて、おじさんは
「迷い猫探しなら、動物センターと警察に届けておいた方がいいですよ」
とアドバイスをくれた。
「ペットは愛玩動物なんです。自分なりのやり方でいいですから愛してあげてください。
 あなたたちみたいな可愛い子から見れば、オヤジのクセにキモイ、とか思われそうですけど」
おじさんは冗談めかしたことを沈鬱な表情で言った。
「愛を無くしたペットは玩具、つまりおもちゃなんです。
 そこには命はない。そんなのは悲しすぎるじゃないですか」

50 :名無し娘。:2001/08/19(日) 23:09 ID:nxYbROgc

お茶でも飲もうと言うことになって、私たちはファーストフードに入った。
「私たちが飼い主だって思われてたよね」
ベーグルさんはうんうんと曖昧に頷いた。
「聞いてる?」
「聞いてるよ」
「保健所に狩られたってことはないんだよね。良かったね」
ベーグルさんはそうだねと明らかに気のない相槌を打った。
「ねぇ、本当に聞いてるの?」
「かなり本当に聞いてる」
失礼千万にも、この間彼女は市役所からもらった『正しいペットの飼い方』という小冊子を
見つづけっぱなしだった。

そろそろ夕方を越えて夜に差しかかろうとしている時だ。
「あたしはちょっと調べてみようと思う所があるんだ」
ベーグルさんは小冊子を閉じて顔を上げた。
「石川さんは帰っていいよ」
「なによそれ。どうして私を無視するのよ」
「いや、あんまり楽しいこと起きないと思うから」
「楽しくてやってるわけじゃないもの」
では、なんでやっているのだろう。
心の中ではもやもやと形作るものがあるのだが、上手い表現が見当たらない。
「ベーグルさんは、なんで人助けをしているの」
参考にしようと訊ねてみた。
「任務だから、ってのは無し。反則です」
釘をさすのも忘れない。
ベーグルさんはううん、と唸った後押し黙ってしまった。

ちょっと仲良くなれたからって図々しく踏み込みすぎただろうか。
彼女のタブーに触れてしまったのだろうか。
生真面目に口を閉ざすベーグルさんからは全く気持ちが読み取れない。
アイスティーのストローに口を当てたり離したりして落ち着かない時間を耐えていると
「逃げたくないからね」
ベーグルさんは柔らかく言ったが、表情は硬かった。
「天使をやってるときは、気がかりなことから逃げないし
 妥協しないって決めてるんだ」
初めて天使ではない彼女の声を聞いた。

51 :ファンネル:2001/08/20(月) 00:03 ID:RCd1jGJQ
小説とかアニメとかマジ苦手

52 :名無し娘。:2001/08/20(月) 00:24 ID:aIUmk4/E
>>51
アニメはともかく、小説が読めないと
ふざけた情報処理試験の問題は読解できないぞ。

53 :名無し娘。:2001/08/20(月) 01:04 ID:2xo7oH.w
>>51
なるべく興味ない人の眼に触れないようにsageで行いますので、
よろしくお願いいたします。

54 :名無し娘。:2001/08/20(月) 01:09 ID:2xo7oH.w

今日、わかったことがある。
彼女は何か問題を抱えていて、それを明らかにする気はない。
私はそれに関して追求するのは辞めて、ベーグルさんと呼びつづけることにした。
それを気配りとかロマンなどと呼んでもいいが、一番強い理由は恐怖である。
彼女から天使というフィルターを引っぺがしてしまえば、
また『石川なんて知らないよ』と言い始めるのではないかと怯えていたのだ。

彼女の前で二度も大泣きした。
友達にも見せないような、本気の怒りをぶつけて見せた。
挙句の果てには少年探偵団のように、一緒になって他人の猫を探す始末。
私たちはろくな話をしないうちに、顔を見合わせてにこりと笑い会える距離に近づいていた。
それは目を閉じて彫像に手を伸ばし、指先の触感で芸術を鑑賞する行為に似ていた。
見えないものを感じ取れるかもしれないが、目で見えるものは絶対にわからない。
私は彼女の声や体温を知っているのに、彼女の名前も年もわからない。

55 :名無し娘。:2001/08/20(月) 01:10 ID:2xo7oH.w

「そっちで待っていてもいいんだよ」
ベーグルさんは扉の前で、三回目の確認をしてきた。
「着いて行きます。私が言い出したことなんだから」
ベーグルさんは困った顔をした。
「泣いたり怒ったりしないでね。あたしに合わせて、後は黙って笑ってればいいから」
「私を何だと思ってるのよ」
それには返事をしないで、ベーグルさんは扉の脇のチャイムに手を伸ばした。
訊ね猫のポスターに書かれていたとおり、市内のマンションの四階に
加護ちゃんの家があった。

「はい――どちらさま」
若い女性の声がした。
「あの、猫のことで娘さんとお話することが会って来たんですけど」
「また猫なの?」
強い言葉が返ってきて、扉が開いた。
チェーンのついた扉が半開きにされ、隙間から女性が顔を出した。
加護ちゃんの母親だろうか。だとしたらずいぶん若い。
美人だが、ちょっとお化粧が濃いようだ。
女性は私たちを見て、険を立てた眉を慌てて下げた。

「あら……ひょっとして亜依のお友達かしら?」
「そうです」
ベーグルさんが返事をする。私は横で笑っている。
――これでいいのかしら。
立場に不満を感じるが、約束どおりに彼女のリードに大人しく従う。
「お名前を聞いていいかしら?」
さあ、ベーグルさんはどう答えるのかしらと面白がっていたら
「石川です」
ぬけぬけと言われて、私の方が慌てることになった。
「いい、し、柴田です」
女の人から胡乱な奴だと目を向けられた。
「聞いたことないわね」
「今日、学校の近くで知り合ったばっかりなんです。
 猫のお話ですっごく盛り上がってぇ」
彼女は両手を胸の前に組み合わせて無邪気な子供のように振舞うと、
顔まで幼げになって見せた。
「柴田さん、亜依ちゃんと同じ中学の卒業生なんですよ。ね?」
「う、うん」
出身校の名前を挙げると、女性は納得したようだった。
「あらあらあら〜。ごめんなさいねぇ。亜依のお友達なのねぇ。嬉しいわぁ」
うって変わって上機嫌になると、
「亜依はちょっと出かけてるの。中で待っててくれるかしら?」
扉を開いて、私たちを中に招き入れた。

56 :名無し娘。:2001/08/20(月) 03:38 ID:2xo7oH.w

玄関を抜けてすぐのダイニングには、床の上に店屋物の山が出来ていた。
寿司、蕎麦、ピザ、中華――
加護さん一家には失礼だが、このスペースのどこで何十人のパーティが開かれるのかと
悩むぐらいの量だった。

「あ、これね。困っちゃうのよ」
加護ちゃんのお母さん――推定だが、ほぼ確定だろう――は、艶っぽく口元に手を当てた。
「亜依がね、猫探しのポスターを街中に貼っちゃったのよ。
 そうしたら勝手に壁に貼るなって苦情もくるし、悪戯の注文まで来ちゃって」
あっと声を出した私のわき腹に、ベーグルさんが強い肘鉄を入れた。
「だから亜依は今、外にポスターを剥がしに行ってるのよ。
 でもこれはいいのよ。言い方は悪いけどお金で解決できることだから」
「――と、いいますと」
「最近、物騒でしょ?亜依もまだまだ子供だけど、今はそういうのも関係無いみたいだし――」
「この辺りは特に物騒ですからね。用心に越したことは無いですよね」
ベーグルさんが聞き捨てなら無いことを言う。
そこまで言われるほど、この街は悪い街ではない――
と、思っていたが、目前の食料の山は人の悪意をまざまざと造型していた。

57 :名無し娘。:2001/08/20(月) 03:39 ID:2xo7oH.w

「うちはみんな子供が小さいから、ポスターが目を引いて
 押し込み強盗とかが来ないかと思うと心配で」
お母さんが振り向いた先のリビングには、ベビーベットが置いてあった。
ベットの足元には紙おむつが用意されている。
「変な事件に巻き込まれなければいいんだけどねぇ」
ほぉと小母さんにため息をつかれて、良心の限界が来た。
「すみませんっ!」
頭を下げた私の横で、ベーグルさんがバカっと小声で呟いたが止まらない。
「ポスター貼ったらって亜依ちゃんに言ったのって私なんですっ!」
小母さんはホホホと引きつった笑みを浮かべたが
「いいのよぉ、亜依のために考えてくれたんだものね、ホホホ……」
ひとしきり笑い終えて、それよりも、と続けたときには母親の声に戻っていた。
「亜依のこと、どう思う?」

困ったことを聞いてくる親御さんだなと思った。
この手のタイプの質問をして、娘の対外評価を得られるとでも思っているのだろうか。
ベーグルさんに目で促されて、私が言った。
「可愛い子ですよね。それに……」
少女を差し示す当り障りの無いフレーズを生み出そうと考える。
外出時は制服または学校指定のジャージを着用。
そんな規則を守っていた。
猫を思って悲鳴を上げながら電信柱をよじ登る一心さ。
「真面目で、一生懸命……?」
小母さんがくすくす笑い出した。
「亜依が?あの子が?――」
小母さんの笑い声は泣いているように聞こえた。
「引っ越す前のあの子は、人懐っこいのだけがとりえの、
 手のつけられない悪ガキだったのよ。なのにどうしちゃったのよあの子は」

58 :名無し娘。:2001/08/20(月) 08:05 ID:gOd4tXdg


59 :名無し娘。:2001/08/20(月) 17:22 ID:qRA6dY0o
期待保全

60 :名無し娘。:2001/08/20(月) 20:00 ID:7MYv4SWI


61 :小説更新情報の者:2001/08/21(火) 00:22 ID:t7K0rh/U
小説総合スレッド2で更新情報掲載しても良いですか?

62 :名無し娘。:2001/08/21(火) 00:38 ID:kQT2C.Tg
>>61
わざわざありがとうございます。
よろしくお願いいたします。

63 :名無し娘。:2001/08/21(火) 05:07 ID:Endua88Y
おもしろい・・・!!っていうか、上手い。
ストーリーに引き込まれました。謎めいたよっすぃ〜がまたイイ!
久しぶりに大作に出会ったって感じです。

とにかく、期待してます!!

64 :名無し娘。:2001/08/21(火) 15:59 ID:eoJUbJdE


65 :名無し娘。:2001/08/21(火) 19:19 ID:H8fiV9Y6
なんとなく居たたまれない気持ちになって、亜依ちゃんが戻る前にお暇をした。
建物を出ると月が出ていた。
紫がかった空に、ぽそっと掠れた白円が空いている。

私は加護宅の白い明かりを思い出していた。
新品の照明器具は整頓された部屋の隅々まで強い光を届かせていて、
ねずみ色の絨毯に輪郭の鋭い影絵を刻み付けていた。
その影が頭から消えない。
泣くように笑う母親と、力なく一点を見つめる娘の暮らしの中に
あってはならない影を見たような気がした。

宵の空から舞い降りる光は幽かで、優しい。
この灯りの元に、亜依ちゃんは歩いているのだろう。
朧月は亜依ちゃんを慰めてくれるだろうか。
それとも、行先を薄暗く霞ませて惑わせているのだろうか。
小母さんは、月を見ているだろうか。

ベーグルさんは入り口を出てすぐに立ち止まった。
かなわぬ願いを乞うようにせつない顔を月に向ける。
「大丈夫?どうしたの」
「――ちょっと、最後の忘れ物」
一言告げて、建物の中へと駆け戻る。
残された私はベーグルさんまたもやの独走に腹を立てながら、
入り口で待ちつづけた。
ベーグルさんが戻ってくると、私はすぐに尋ねた。
「何してたの?」
ベーグルさんは疲れたような顔をしていた。

66 :名無し娘。:2001/08/22(水) 00:23 ID:LRF36BDE
保全します

67 :小説更新情報の者:2001/08/22(水) 07:32 ID:m8Gq5qqI
ます

68 :名無し娘。:2001/08/22(水) 09:35 ID:MccaKRKQ
素晴らしすぎる。今までに読んだ2ch小説の中で一番良い。期待sage。

69 :名無し娘。:2001/08/22(水) 09:42 ID:cqcMS6xU
抑えた淡い文章なのに輝く情景。
素敵です。

70 :名無し娘。:2001/08/22(水) 18:09 ID:BuAZVndA
 

71 :名無し娘。:2001/08/22(水) 20:13 ID:tW9i0oUY
繊細。。。

72 :名無し娘。:2001/08/23(木) 03:05 ID:AK1A/sAQ
早く続きを・・・ホゼン

73 :名無し娘。:2001/08/23(木) 10:56 ID:zVwTagVs


74 :名無し娘。:2001/08/23(木) 17:01 ID:zEZNt1f.
とにかくホゼン

75 :名無し娘。:2001/08/24(金) 01:01 ID:5eDAlwZs
hozen

76 :名無し娘。:2001/08/24(金) 02:40 ID:Cz1MCazE
マンションの玄関飾りとして、コンクリートで囲われた花壇がある。
ベーグルさんは膝の高さほどのそこに腰掛けると、ふぅと息をついて両手で額を押さえた。
「どうしたの?」
私は立ったまま、もう一度尋ねる。
ベーグルさんは顔を上げるとさらりと言った。
「もう、加護さんの猫に関わるのはやめておこう」
「え」

言葉通りに取ればギブアップ宣言である。
今日一日、ベーグルさんはよくやってくれた。
いつ諦めたって文句を言われる筋合いは無い。
でも、違っていた。
私はベーグルさんの闇に沈む姿を見つめて言った。
「私が言い出して始めたことだよね」
「そうだね」
「だったら、終わらせるのも私だと思う」
理のない勝手な言い草だが押し通す。
「何を隠してるの?知ってることを教えて」
ベーグルさんは生気の抜けた顔を薄く笑わせた。
「ペットがいなくなったらどうするか、ずっと考えてた」

冷酷とも受け取れる排他的な表情を見ているうちに
ぞわりと嫌な予兆が背筋を上がってきた。
「考えた、って何を?」
「ペットがいなくなったら。ポスターを貼る。
 保健所――これは勘違いだったけど、とにかく市の役所に行く。
 こういうことって、あんまり一人でやらないよね。
 友達と一緒にするときもあるけど――」
そこで区切って、私の方を伺った。
私は後を受け継いで言う。
「亜依ちゃんに、まだ友達はいないんじゃないかな――」
亜依ちゃんは転校生だ。
夏休みに転校してきた上に、ひたすらに行方不明のおーちゃんを追っていた。
誰かと暖かい関係を築けるような時間が合ったとは考えにくい。
「だろうね。だからあたし達が行って、お母さんもあんなに喜んだと思う」
小母さんを騙したことが今更に胸を痛めた。

77 :名無し娘。:2001/08/24(金) 02:43 ID:Cz1MCazE

亜依ちゃんは規則どおりに学校指定のジャージを着て外出する。
中学校の誰もが公然と校則を無視していることを知らない。
土地鑑もないのに街を彷徨う。
電信柱をよじ登り、塀を越え、垣根を潜って人の踏み入れない場所を探る。
一人で。
たった一人ですごす蒼天の夏休み。

「――休み越しの転校生って、寂しいね」
ベーグルさんは小さく頷いて話を続けた。
「でも友達よりも、先に相談にするのは――」
私を試すように、また区切る。
「家族――」
ぽんと自然に放り出した言葉で私は凍った。
「そう、家族」
ベーグルさんは凍える私を気遣うように見上げた。
「小母さんは、猫に対してはあんまり協力的じゃないみたいだよね。
 赤ちゃんもいるからかな」
暗い結末の予感を受けて押し黙った私に、ベーグルさんは淡々と言いつづけた。
「さっき、一人でマンションに戻ったとき管理人さんに聞いてきたんだ」
答えがわかった。
私はぎゅっと目を閉じた。
「このマンションの四階は社宅で、全部の住民はペット禁止だって」

78 :名無し娘。:2001/08/24(金) 02:43 ID:Cz1MCazE

私の声はみっともなく擦れていた。
「小母さんが――亜依ちゃんに隠れて捨てたんだ」
「捨てられたんなら、まだいいけどさ」
「どういうこと?」
ベーグルさんはしまった、と口を歪めて黙った。
「何もかも言ってよ。全部」
私が詰め寄ると、ベーグルさんは目を伏せてズボンのポケットをまさぐった。
「社宅だよ。きっとお隣さんとかうるさくて、ローカルルールが厳しい。
 万が一にも戻ってこられたら意味が無い」
保健所からもらった小冊子を取り出して、それでパンと手を叩く。
「保健所は、飼えなくなったペットを処分してくれるって書いてあった」
血まみれの猫を鼻先に突きつけられた気がした。

住民の生活環境を守るのが仕事であると、市役所のおじさんは言っていた。
ペット禁止の社宅に住み、家畜から赤ちゃんを守る。
小母さんには過ごしやすい環境を選ぶ権利があり、役所はそれを助ける義務がある。
小母さんの選択をとがめる権利はあたし達にはない。
「石川さん」
足を震わせて俯く私に、ベーグルさんは語り掛ける。
「猫は逃げたのかもしれないし、誰かに飼われているのかもしれない。
 わからないから、もうあたし達は関われない」
そう、すべてはベーグルさんの透き通った目で見た物語だ。
追い詰められたように娘を案ずる母親の心の中にしか答えは無い。

「小母さんは、測り間違えちゃっただけなんだ」
そしてベーグルさんは物分りのよい子供が時おり見せるような諦観の仮面を
青白い顔の上に乗せて物語にピリオドを打った。
「きっと小母さんが考えていたよりも、亜依ちゃんの猫はずっと重かったんだ」

79 :名無し娘。:2001/08/24(金) 02:44 ID:Cz1MCazE

ベーグルさんの立ち上がる仕草から、別れのときが近づいていることを悟った。
私はおずおずと切りだした。
「ねぇ、ベーグルさんに会いたくなったら、私はどうしたらいいの?」
「天使に会いたければ神様にお祈りでもするもんじゃないの」
彼女に近づけたと感じたのは、願望が引き起こした錯覚だったのだろうか。
また会おうよだなんて軽い挨拶が届かないほどに私たちは遠いままだった。
「会えれば会える、会えなきゃ会えない」
ベーグルさんは当たり前のことを昔日を偲ぶように詠った。

80 :名無し娘。:2001/08/24(金) 02:46 ID:Cz1MCazE

熱帯夜が水の匂いをさせて訪れようとしている。
ずいぶん遠い回り道を経て、私は帰宅の道に戻ってきた。

亜依ちゃんと出会った電信柱の近くに差し掛かると、私は息を詰めて早足で通り抜けた。
もしこの瞬間に、くしゃくしゃになって破けがかったポスターの山を抱えた少女と出くわしてしまったら、
私は鬼を見たように逃げ出すか、蛇に睨まれたように立ちすくむかするだろう。
少女は私を見て、泣くように笑うに違いない。
その想像は、柳の下に幽霊を見るよりも遥かに怖かった。

ちょうどその時に猫の声を聞いた気がして、
私は汗ばむ背の気持ち悪さを感じながら振り返った。

塀の上にかさかさの毛皮を持った茶色い猫が座っていた。
目やにが溜まっている。耳にはどす黒いかさぶたの塊がついていた。
痩せこけた猫の目は星のように高いところから輝いて、私を突き放していた。
膝が笑い、地面が下がったような眩暈を受ける。
――ごめんなさい。
私は世界に向かって許しを乞っていた。
そっと差し伸ばした手を、猫は鋭い爪で拒絶した。
愛のかけらもない獣の顔で声高く叫ぶと、塀の向こうに姿を消す。
むず痒くうずく手の甲には赤い線が引かれ、太さを増しつつあった。
そこに口をつけると命の味がした。

81 :名無し娘。:2001/08/24(金) 02:47 ID:Cz1MCazE
< ニ 猫の重さ >

82 :名無し娘。:2001/08/24(金) 02:49 ID:Cz1MCazE
次回更新、遅れます。
なるべく自分で保全をするように心がけますが、
緊急事態が勃発した際にはお助けいただけると大変嬉しいです。

83 :名無し娘。:2001/08/24(金) 03:56 ID:KfpyNidg
あっちの作品もがむばってね

84 :名無し娘。:2001/08/24(金) 12:50 ID:tjN./5nU


85 :SORROW:2001/08/24(金) 13:53 ID:LXT/0wm6
救いようのない内容に途中で読むのが苦しくなった。。。切な過ぎる。。。
でも良かったです。続き期待しています。

>>83
この作者さんは他にも書いてる作品があるんですか?
読んでみたいのでどこで読めるか教えてもらえますか?

86 :名無し娘。:2001/08/24(金) 14:17 ID:VhmijNm2
スゴク(・∀・)イイ!

87 :名無し娘。:2001/08/24(金) 20:57 ID:uSPIYkzM
>>85
MS 緑板 ハウンドブラッド

88 :名無し娘。:2001/08/24(金) 21:42 ID:6I4mu66w
ちっきしょー!うめえなあ、おい!

ほんまイイです。
がんばってください。

89 :名無しさん:2001/08/25(土) 01:47 ID:1IRiZrYc
ほんのりと胃が重くなってくるね……
でも続き待ちの自分はM?(w

90 :名無し娘。:2001/08/25(土) 01:50 ID:PMQUEaCw
>>87
ぐあ、マジでか。
今ちょうどその前スレを1日1話ずつ読み進めてたとこだよ、俺。

91 :名無し娘。:2001/08/25(土) 08:50 ID:PdidwxiM


92 :名無し娘。:2001/08/25(土) 17:40 ID:N1wN5EJE


93 :名無し娘。:2001/08/25(土) 23:15 ID:yYrkmkUo
期待sage

94 :名無し娘。:2001/08/26(日) 01:26 ID:4P.725T6
保全

95 :名無し娘。:01/08/26 12:36 ID:BQyubHLE


96 :ichikawa3-143.ppp-1.dion.ne.jpさん:01/08/27 01:40 ID:2r9DxFKo


97 :ichikawa3-143.ppp-1.dion.ne.jpさん:01/08/27 01:40 ID:2r9DxFKo
 

98 :名無し娘。:01/08/27 03:11 ID:b/eoDWA2
羊版が無くなったら、おそらくm-seekにアップします。
タイトルを変えるかもしれませんが、その場合は(夏のプリズム)と併記します。

99 :p95-dna13kasumigase.tokyo.ocn.ne.jpさん:01/08/27 03:33 ID:Rbi/zmsA
羊板なくなるの?

100 :名無し娘。:01/08/27 04:05 ID:ULzphURI
>98
何処行こうが応援し続けますです・・

101 :質問:01/08/27 04:21 ID:edzaH2OU
なんでホストが出るんでしょ?

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